オプションの魅力は、
- 多彩な戦略をとることができること
ではないだろうか。
それができるのは、銘柄の選択肢が多い上に、複数の銘柄を組み合わせた合成ポジションにより利益を狙うことができるからだろう。
合成ポジションを組んだ場合、ポジション全体での損益を簡単に見られるツールがあると便利だ。
なお、損益の確認は、
- 損益図
- 損益の時系列推移
これら2つの面で確認できた方が良いと思う。
損益図は、相場の変化と損益の変化の関係を表した図。
いわば「損益の着地予想図」。
先物の場合だと、損益図は単純な直線のグラフになる。
オプションの場合は権利行使価格でカクンと折れ曲がるグラフとなり、複数のポジションが組み合わさると、複雑なものとなる。
ただし、この権利行使価格でカクンと折れ曲がるグラフは、満期日(SQ日)のSQ値に対するグラフ。
満期日までにおいては、損益図は曲線となる。
(ブラックショールズモデルを用いてオプションの理論価格を計算した場合)
そして、満期日に近付くに従い、この曲線は先ほどのカクンと折れ曲がるグラフに近付いていく。
損益図上のグラフは、
- 満期日におけるグラフ(後ほど紹介する損益図では実線で表示)
- それまでの間の理論値曲線(後ほど紹介する損益図では破線で表示)
の2種類存在することとなる。
ややこしい。
合成ポジションの損益図を簡単に確認できるツールがあれば便利だ。
損益の時系列推移は、単体のポジションであれば、前回の記事で紹介した「オプション時系列データ画面」で確認できる。
が、複数ポジションとなると、これではちょっと面倒だ。
合成ポジションの損益の時系列推移を簡単に確認できるツールがあれば便利だ。
さて、前回の記事で積み残した、⑤の「売買シミュレーション」。
これは、タラレバ売買ツール。
「ここでポジションを建てていたとすれば、その後どうなったのか?」
あるいは、
「この先の理論値曲線はどうなるのか?」
を確認するツール。
仮想ポジションを登録すれば、そのポジションの損益図や損益の時系列推移を簡単に確認することができる。
下図が仮想ポジションを登録する画面。
ここでは、合成ポジションを3グループ登録した。
Gr1は、異なる権利行使価格のコールとプットを売る「ショートストラングル」と呼ばれる合成ポジション。
Gr2は、ミニ先物10枚買いとコールの売りを組み合わせた「カバードコール」。
Gr3は、コールのデルタを基準にミニ3枚買いとしたカバードコール。
全て、2019年3月18日の日中にエントリーしたものとした。
こうやって複数のグループ(売買戦略)を作成し、損益図や損益推移を比較できれば便利だ。
下図は、合成ポジションの損益図。上から順にGr1,2,3。
これらは、エントリー時点におけるもの。
日がたつにつれ、破線(理論値)が実線(満期日グラフ)に近付いていく。
例えば、4月限の最終取引日の損益図は下図のようになる。(Gr1のみ掲載)
破線と実線がほとんど重なっている。
なお、理論値のグラフがどのように変化するかシミュレートできるように、
未来の日付でもグラフ表示可能とした。
満期日までポジションを保有しないのであれば、
白い破線(Total_理論値)が、「着地予想グラフ」となり、実線よりも重要度が増す。
どの売買戦略を選択するかは、結局、白い破線の形状選びをしているのではないだろうか。
(時間経過と共に実線に近付くときの形状も含めて)
難点は、ボラティリティが変動するため、予想と実績にブレが生じること。
例えば、下図はGr1におけるエントリーから1週間後の予想と実績。
赤い矢印で差異を図示した。
予想に反して実績では、ゼロラインより上の利益がでる領域(緑色で示した)が小さくなっている。
つまり、着地予想が下ブレしている。
もちろん、上ぶれするケースもある。
3月22日の日中がそうだった。
なかなか難しい・・・
次に、損益の時系列推移。
下図。上から順にGr1,2,3。
オプションの損益倍率は1000倍。
ミニ先物の損益倍率は100倍なので、オプションの倍率に揃えるため、ミニ先物の損益欄は0.1掛けた値としている。
相場は3月25日の日中に大きく下落した。
このときの「ヤラレ」度合いが最も少なかったのがGr3。
損益図の白い破線を見比べれば、相場が下落したときの「ヤラレ」度合いが最も少なそうなのがGr3だと予想がつくが、その通りとなっている。
このように、タラレバ売買も、複数の売買戦略で損益図や損益推移を比較することにより、
売買戦略に対する理解がより一層深まるのではないだろうか。
データ蓄積を始めて1ヶ月半がたった。
更にデータを蓄積しながら、
タラレバ売買を繰り返し、
どういった局面でどういった戦略が有利であるのか、
じっくり勉強して行こうと思う。