日経225オプションのポジション分析の第一歩

前回の記事『日経225オプションのタラレバ売買ツール』において、
合成ポジションを組んだ場合、ポジション全体の損益を簡単に見られるツールがあれば便利だということで、

  • 損益図
  • 損益の時系列推移表

を紹介した。

今回、この2つのツールを、ポジション分析の観点から少し改造したので記事にしようと思う。

オプションでのポジション分析の基本は、
次の3つの要素がポジションの損益にどのような影響を及ぼすのかを把握しておくことではないだろうか?

  • 原資産価格の変動
  • 時間経過
  • ボラティリティの変動

つまり、

  • 原資産価格が上がればうれしいのか、下がればうれしいのか?
    (対応するギリシャ指標:デルタ、ガンマ)
  • 時間経過が味方となるのか、敵となるのか?
    (対応するギリシャ指標:シータ)
  • ボラティリティが上がればうれしいのか、下がればうれしいのか?
    (対応するギリシャ指標:ベガ)

もちろん、単に、「上がればうれしいのか?」だけでなく、
各要素の変動量とポジションの損益の変動量の関係を把握しておくことも重要だと思う。
例えば、3日後には時間的価値がいくら減少しているのか?
など。

ちなみに、日経225先物では、1の要素だけ把握していれば良かった。
オプションでは、さらに2つの要素が加わっているため、複雑だ。

さて、2つのツールのうちの1つめ、損益図。

単純な損益図は、原資産価格の変化に対する損益の変化が確認できるツール。
それに対し前回紹介した損益図は、単純な損益図に加え、
時間経過に対する損益の変化をシミュレートできるものであった。
つまり、上記1と2の要素に対応したものであった。
今回、3の要素に対応し、ボラティリティの変化に対する損益の変化をシミュレートできるよう機能を追加した。

例えば、次のような合成ポジション。
「ロングストラングル」と呼ばれる、コール買い+プット買いポジション。
(コールとプットの権利行使価格が異なる。)

エントリー時点の損益図は下図のようになる。

白い破線がポジション全体の損益理論値。
エントリー時点のボラティリティに対し+5%まで1%ずつ増加させ、アニメ化した。
ボラティリティが上がる毎に白い破線が上へスライドしていくことより、
このポジションはボラティリティが上がればうれしいポジションであることが確認できる。
また、1%増加することによる恩恵の度合もざっくりとであるが確認できる。

次に、2つめのツール、損益の時系列推移表。
これについては、ポジション全体のギリシャ指標(合計値)を表示する欄を追加した。
ただそれだけのことだが、無くてはならないものではないだろうか。
と、追加してみて感じている。
下図は、先ほどと同じポジションの損益推移。
(ポジションを組んでからこれまでに経過したセッションの実績値を表示している)

「デルタ計」…エントリー時点では若干のプラス、以降マイナスとなる。
ポジションを組んでから日経平均が下落したので、日経が下がればうれしいポジションとなっている。
「ガンマ計」…プラス → 日経が大きく動くとうれしいポジション。
「ベガ計」…プラス → ボラティリティの上昇がうれしいポジション。
「シータ計」…マイナス → 時間経過が敵となるポジション。
であることが確認できる。
なお、それぞれの要素がポジションの損益にどの程度影響があるのかは各数値で確認できる。

ちなみに、ギリシャ指標は小数4桁表示から2桁表示にした。
4桁もいらないような気がする。
(証券会社のツールはどことも4桁で表示されているように思うが)
2桁にしてスッキリさせた。
それに伴い、ガンマは100倍し、「100円ガンマ」とした。
デルタも100倍した方がいいのだろうか(「100円デルタ」)・・・思案中。
「日経が100円動いたら、オプション価格はいくら動くのか?」
で考えることが多いような気がする。
それならデルタも100倍しておいた方が暗算し易いように思う。

さて、上記例のポジションは、2019年5月7日(火曜日)、10連休明けの急落を受け組んだものとした。
このときのオプションの期近は5月限であったが、SQ間近であるため、期先の6月限でポジションを組んだ。
もし、同じポジションを5月限で組んでいればどうなっていたのだろうか?下図。

先ほどの表と比較すると、期近と期先の違いが色々見えてくる。
ような気がする・・・

目下、このような感じで、タラレバ売買を繰り返している。

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