ポートフォリオアナライザー

前回の記事で、自動売買の運用を再開しようと考えていることを書いた。
ここ1ヶ月程は、新しい売買ロジックの考案とバックテストに明け暮れている。
また、『なぜ裁量取引に再挑戦するのか?』では、次の売買ロジックとして、プライスアクションドリブンなものを検討していることを書いた。
新しいロジックは、複雑なインジケータはおろか、単純なインジケータである移動平均線すら使用していない。
価格変動そのものでロジックを構築している。
エントリールールは極めて単純なロジックとした。
有名なタートルズのエントリールールよりも単純だ。
イグジットルールは、エントリールールより複雑になっているが・・・
以前作ったロジックに比べて、損益は見劣りするが、そこそこのものに仕上がってきている。

一方、バックテストの待ち時間に、「ポートフォリオアナライザー」を作った。
(遺伝的アルゴリズムをまわすには、それなりに時間がかかり、待ち時間が発生する)
「ポートフォリオ」とは、Wikipediaによれば、

一般的な投資家は、リスク管理のために自らの資産を複数の金融商品に分散させて投資する。その金融商品の組み合わせのことをポートフォリオという。

とある。
ここでは、「複数の金融商品」の代わりに、「複数の売買ロジック」に置き換えた。
つまり、ここで言うポートフォリオとは、複数の売買ロジックの組み合わせのこと。
自動売買システムを1年ほど運用してでてきた課題』では、
「売買ロジックの多様化が必要だ」
として、
「個々の売買ロジックの資金カーブが安定していることも重要だが、システムトータルの資金カーブを安定した右肩上がりとすることが、より重要なことだと思うようになってきた。」
ということを紹介した。

そう、自動売買の運用を再開するためには、システムトータル(ポートフォリオ)でパフォーマンス評価できる仕組みが必要だと考えた。
システムトータルでのバックテストを実施する、と言えばわかり易いだろうか。
それが、ポートフォリオアナライザー。
まぁ、名前は大げさだが、やっていることは単純だ。
個々のロジックのバックテスト時に排出されるトレードログデータを、このポートフォリオアナライザーへ渡してやれば、トレードログを時系列に再構築し、勝率や資金カーブや最大ドローダウン(DD)などの諸元を再計算するもの。
これら諸元の計算プログラムは、既にバックテスト機能に組み込んであるので、上手くつなげてやれば良いだけだ。

ポートフォリオのパフォーマンス評価項目で何よりも重要なのは、資金カーブと最大DDだろう。
資金カーブが、より直線状になることと(単利運用において)、最大DDが個々のN倍(Nは組み合わせるロジックの数)および合計値より小さくなることが大事だと思う。
要は、あるロジックのドローダウン時期を別のロジックがカバーしているシステムが、トータルシステムで良いシステムだろう。
これを「見える化」したのが、ポートフォリオアナライザー。

例を示す。

Logic1は新たに開発している売買ロジックで、買い専用ロジック。
バックテストでの資金カーブはこんな感じ。(当初資金を100万円とし、ミニ1枚運用)

ちなみに、この資金カーブもポートフォリオアナライザーを使って描画している。
(売買ロジックが複数でなくても動作するようにしている)
以前は、トレードログデータをExcelで開き、Excelのグラフ機能で資金カーブを描画していた。
ちょっとメンドクサかった。
このツールのおかげで便利になった。

Logic2も新たに開発している売買ロジックで、売り専用ロジック。
Logic1とロジックの骨格は同じだが、売買の方向とパラメータ設定値が違う。
そう、以前の記事に書いたが、買いのロジックと売りのロジックを分けて開発している。
Logic2のバックテストでの資金カーブはこんな感じ。

更に、以前開発していた7番目のロジック(以前、軽く紹介した)。このパラメータ見直し版をLogic3とし、その資金カーブがこんな感じ。

これら3つをポートフォリオ運用した場合、そのパフォーマンスがどうなるか?

それぞれのトレードログデータをポートフォリオアナライザーへ渡してやる。(下図)

そして、得られた資金カーブはこんな感じ。(最大ミニ3枚での運用となる)

Logic3のドローダウン時期をLogic1がカバーしている状況が確認できる。

また、パフォーマンスが下図。
(用語の説明はこちら、『バックテストでの確認項目は何か?そして、重視している項目は何か?』)

Logic1~3はミニ1枚運用としたときのパフォーマンス。
ポートフォリオはLogic1~3を同時運用した場合のパフォーマンス、従って最大ミニ3枚での運用となる。

ポートフォリオ運用での最大DDは、個々のロジックの最大DDの合計値(221,600)の半分以下に抑えられている。
また、最も損益の大きいLogic3を3枚運用した場合、
損益累計が4,353,150となり、
ポートフォリオ運用よりも損益が大きくなるが、
最大DDが211,500、平均DDが57,789となり、
ポートフォリオ運用よりもリスクが増大する。

つまり、ポートフォリオ運用によるリスク軽減効果が確認できる。

さて、ここで紹介したLogic1とLogic2は、先週1月26日より自動売買の運用を開始した。
残念ながら、初戦は負けトレードだったが・・・
Logic3については、パラメータおよび使用するチャートをもう少し精査してから投入する予定。
そして、その後も、ポートフォリオアナライザーで効果を確認しながら売買ロジックを追加していく予定。

ポートフォリオアナライザー、今は小さく生んだ状態だが、今後、大きく育てようと考えている。
例えば、資金カーブでドローダウンの時期を確認したとき、そこから更に、その時期の相場状況なども簡単に確認できるようになれば分析の幅が広がるだろう。

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