バックテストでの確認項目は何か?そして、重視している項目は何か?

自動売買システムを構築するとき、ほとんどの人は、バックテストを実施し、その売買ロジックに期待されるパフォーマンス・優位性を確認していることと思う。

ん?やっていない?
パフォーマンス・優位性確認は、やっておいた方がいいと思う。

では、その際、具体的に何を確認すれば良いのだろうか?
確認する項目、そして、どの項目を重視するかは、人により違うと思う。
それでいいと思う。
正解があるのかどうかも分からない。
ここで紹介するのは、あくまでも私が何を確認して何を重視しているかについて。

下図がバックテスト結果例。

これらの評価項目が画面およびファイルに出力される。
これ以外にも、全トレードログ、月毎の損益、週毎の損益も出力される。

ここで、

  • PF:プロフィットファクター(=総利益÷総損失)
  • POR:ペイオフレシオ(=平均利益÷平均損失)
  • DD:ドローダウン(最大資金額からの落ち込み幅)
  • DU:ドローアップ(最小資金額からの上昇幅)
  • R^2:資金カーブに対する回帰直線の決定係数
  • RRR:リワード・リスク比率
  • RAR:リスク調整済みリターン

四角で囲った項目が主に確認している項目。
赤色が最も重視している項目。
そして、赤とオレンジの10項目それぞれにしきい値を設け、合否判定をし、
合格率(合格した項目数の割合)を算出している。
例えば、年率RRRが3以上で合格、といった具合。

年率損益は、
損益累計を年率換算したもの。
バックテスト期間の異なるテスト結果を比較するとき、
年率換算した方が評価しやすい。
損益累計よりも年率損益を重視している。
ちなみに、このバックテストはミニ1枚固定枚数で実施した。
従って、この年率損益222,816は、
ミニ1枚で年間22万円の稼ぎが見込めるロジックということだ。
(もちろん、過去そうであったというだけで、将来そうなるとは限らない)

年率RRRと年率RARは、
損益とリスクのバランスを見る項目。
「アルゴリズムトレーディング入門(ロバート・パルド著、パンローリング社)」
で紹介されている計算式を用いている。

年率RRR=年率損益÷最大DD
つまり、最大DDをリスクと定義し、リスクの何倍の損益があるか。
本では、3以上が良いシステムと紹介されている。

年率RARは証拠金の項を少し修正して使っている。
年率RAR=年率損益÷(証拠金×2+最大DD×2)
分母の意味は、準備する資金と考えれば理解しやすい。
バックテストでの最大DDの2倍規模のドローダウンに見舞われても、
証拠金の2倍の資金が手元に残り、トレードが継続できる。
私は証拠金を100,000で計算している。
つまり、370,700円(100,000×2+85,350×2)の資金でミニ1枚運用すれば、
年間60%程度のリターンが見込めるロジックということだ。

年率RRR、年率RARの他にも、似たような項目として、PFやPORもあるが、
私は、最大DDを用いた年率RRR、年率RARの方を重視している。

期待値とExOは、
「システムトレード基本と原則(ブレント・ペンフォールド著、パンローリング社)」
で紹介されているもの。
期待値は、1トレードにおけるリスク金額当たりのリターン。
ExOは、期待値×機会(トレード回数)。
そして、著者にとっての聖杯が、このExO。

破産確率は、
当初資金100万円、1回のトレードで資金3%のリスクをとるものとしたとき、
資金が50万円になる確率。
破産確率というより、撤退確率といった方が適切かも知れない。

トレード回数は、データサンプルとしては、多いほど良いと考えている。
本によっては、
「統計学的にはトレードサンプル数は30ほどあれば良い」
といったようなことを書いているものもあるが、
私は、30では全然足りないと思っている。
1000件くらい欲しい。

勝率は、
売買ロジックの組み立て方』にも書いたが、50%くらいは欲しい。
週次勝率も50%くらい、月次勝率は70%くらい欲しい。

固定枚数(単利運用)でバックテストした場合、
資金カーブに対する回帰直線の決定係数(R^2)は、
1に近いほど良いと考えている。
(決定係数のとる範囲は0~1)
1に近いほど、資金カーブが直線に近いということ。
デコボコが小さく、安定的に資金が増えていくということだ。
単利運用のバックテストで安定した右肩上がりの資金カーブが得られなければ、
複利運用(資金の増加に応じて枚数を増やす)は難しいのではないかと思っている。

どの項目を重視するか?
人によって違うのは、人によって性格が違うからだろう。
自分の性格に合ったシステムを作るうえで、
どの項目を重視するかが大事なポイントなのだろう。
ドローダウンがきつくても平気で、より大きな利益を重視する人もいるだろう。
そういう人は、例えば、資金カーブの回帰直線では、
「傾き」を重視するのではないだろうか?
私は、どちらかと言えば、
多少利益を犠牲にしても、リスクとのバランスを重視している。

なお、これらバックテスト結果項目の数値確認も大事だが、
それ以前に、テスト対象期間が、
日足チャートでどういう局面(上昇、下落、レンジ等)であったのかを押さえておくことも大事だと思っている。

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